不動産投資の初期費用はいくらかかる?費用をおさえるポイントや運用費も解説
目次
不動産投資を始めようと考えているものの、初期費用がいくら必要なのか気になっている方は多いのではないでしょうか。
不動産は高額な買い物であるため、成功率を上げるためには具体的な資金計画を立てる必要があります。
本記事では不動産投資にかかる初期費用や運用費の目安、費用を節約するポイントを解説します。不動産投資に取り組むうえでの具体的な資金計画を立てたい方はぜひ本記事を参考にしてください。
不動産投資の初期費用はどのくらい
不動産投資にかかる初期費用の目安は物件価格の8〜10%程度であるといわれています。
物件価格3,000万円の不動産を購入する場合、物件以外にかかる初期費用は240〜300万円程度であるため、総額3,240〜3,300万円の費用がかかります。なお、具体的な金額は購入する物件によって異なるため、8〜10%という数字はあくまでも参考程度に考えましょう。
たとえば、不動産の固定資産税評価額は建物の構造や築年数、立地によって異なり、評価額が高いほど物件の購入時にかかる登録免許税や不動産取得税、固定資産税清算金などが高くなります。
また、不動産投資では頭金についても注意しなければなりません。頭金とは物件価格からローンの借入額を引いた金額であり、不動産購入時に現金で支払うお金を指します。頭金を多くすると毎月のローン返済は楽になりますが、頭金を貯めるために購入時期が遅れたり手元に残せる金額が少なくなるなどの注意点もあります。
現金をなるべく手元に残すために頭金を少なくしたい場合でも、金融機関が希望通りの融資を行ってくれるとは限りません。金融資産が多いと、融資条件も有利になりやすいため資金には余裕を持っておく方が良いでしょう。
不動産投資の初期費用の内訳
不動産投資の初期費用の内訳は主に以下の通りです。
- 物件の頭金
- 仲介手数料
- 融資事務手数料
- 融資保証料
- 登録免許税
- 印紙税
- 司法書士などの報酬
- 不動産所得税
- 火災保険料・地震保険料
- 固定資産税・都市計画税の精算
不動産投資で必要な初期費用の目安や計算方法を次の項目から紹介していきます。
物件の頭金
頭金とは物件価格からローンの借入額を引いた金額であり、物件購入時に現金で支払うお金を指します。
不動産投資のローンの審査は本人の属性や返済能力だけでなく、購入する物件の収益性や条件についても対象になります。
フルローンは融資審査の難易度が高いため、一般的には物件価格の10〜30%程度の頭金が必要になると考えておきましょう。
頭金を多くすると融資額を抑えられるため、毎月の返済額が少なくなります。一方で、頭金を少なくする場合は手元に資金を残しておけるため、運用中の修繕費用等に充てられるといったメリットがあります。
自分の組める融資条件によって「どのくらいの頭金が必要なのか」「どのような物件を購入できるか」が変わってきます。まずは、どのような融資条件で取り組めるかを不動産会社に確認しましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは不動産購入時に不動産仲介会社へ支払う報酬です。仲介手数料には上限額が法律によって規定されており、以下の計算式で算出されます。
仲介手数料の上限 = 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
たとえば、3,000万円の不動産を購入した場合の仲介手数料は以下の通りです。
物件価格3,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税10% =仲介手数料105万6,000円
なお、上記の計算式はあくまでも速算式であり、正確な仲介手数料とは異なります。
仲介手数料を正確に算出するためには、物件価格を金額ごとに区切り、適用する計算式をあてはめて算出します。仲介手数料の正確な計算方法は以下の通りです。
物件価格 | 計算式 |
200万円以下 | 物件価格 × 5% + 消費税 |
200万円超〜400万円以下 | 物件価格 × 4% + 消費税 |
400万円超 | 物件価格 × 3% + 消費税 |
上記の計算式は煩雑であるため、400万円を超える物件は速算式で計算するのが一般的です。
なお、仲介手数料はあくまでも仲介会社を通して購入した場合にかかる費用です。不動産会社やハウスメーカーが売主の場合は売主と買主の直接契約になるため、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は初期費用の多くを占める項目であるため、物件購入時にいくら必要か事前に計算して、必ずおさえておきましょう。
融資事務手数料
融資事務手数料とはローンを利用する際に金融機関へ支払う手数料です。融資事務手数料は金融機関によって金額が異なり、適用される利率は定率型と定額型の2種類に分けられます。
メガバンクや大手地方銀行は定額型、その他の銀行ノンバンクでは定率法が採用されていることが多いです。
融資額に対して、「1~2%+税」を融資事務手数料として設定していることが一般的です。
融資金額や利率によって定率型と定額型のどちらがお得かは異なるため、複数の金融機関のローンを見比べてみましょう。なお、同じ金融機関のローンであっても、後述する「保証料」を前払いすると融資事務手数料が安くなったり不要になったりするケースがあります。
登録免許税
登録免許税は不動産を購入した際に所有権や担保を登記するための費用(税金)です。登記を行うと不動産の所有権を対外的に主張できるようになるため、建物の新築時や不動産の引き渡し時、融資実行時などに行います。
登録免許税の計算式は「課税標準額 × 税率」で求められます。課税標準額は固定資産税評価額を指し、税率は種別によって異なるため以下の表を参考にしてください。
登記の種別 | 計算式 |
所有権保存登記(建物新築時) | 課税標準額 × 0.4% |
所有権移転登記(土地購入時) | 課税標準額 × 1.5% |
所有権移転登記(建物購入時) | 課税標準額 × 2% |
抵当権設定登記(融資実行時) | 課税標準額 × 0.4% |
たとえば土地評価額1,000万円、建物評価額2,000万円の中古マンションを、2,500万円のローンを組んで購入する場合の登録免許税は以下の通りです。
- 土地の所有権移転登記:1,000万円 × 1.5% = 15万円
- 建物の所有権移転登記:2,000万円 × 2% = 40万円
- 抵当権設定登記:2,500万円 × 0.4% = 10万円
合計で65万円の登録免許税がかかる計算となります。
固定資産税評価額は立地や構造、築年数によって大きく異なるため、購入する前にはいくらの登録免許税がかかるか試算しておきましょう。
司法書士への報酬
司法書士に登記を依頼した場合は報酬として費用が発生します。登記は建物の新築時や不動産の引き渡し時、融資実行時などに行いますが、取引の安全性を確保するために司法書士へ依頼するのが一般的です。
司法書士が独自で報酬額を決めているため、価格は一律ではありません。あくまでも目安ですが、概ね10〜15万程度と考えましょう。
登記手続きを自身で行えば司法書士への報酬分の費用はおさえられますが、登記には多くの書類が必要かつ手続きも複雑であるため司法書士に依頼するのが無難といえます。
また、不動産会社によっては取引時のトラブルを避けるために、不動産売買時に自分での登記手続きはお断りしている場合もあります。
不動産会社から紹介された司法書士から明らかに相場価格よりも高い見積もりが出てきた際には、ほかの司法書士に相見積もりを依頼してみるのも一つの手段です。
印紙税
印紙税は不動産の売買契約書やローンを組む際の金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙代を指します。
印紙税は売買金額や融資金額によって異なるため、以下の表を参考にしてください。
記載金額 | 印紙税(不動産売買契約書) | 印紙税(金銭消費貸借契約書) |
500万円以下 | 1,000円 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 | 10,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 | 20,000円 |
1億円以下 | 30,000円 | 60,000円 |
5億円以下 | 60,000円 | 10万円 |
10億円以下 | 16万円 | 20万円 |
50億円以下 | 32万円 | 40万円 |
50億円超 | 48万円 | 60万円 |
記載金額のないもの | 200円 | 200円 |
なお、不動産売買契約書の印紙税に関しては軽減税率が適用された後の金額を記載しています。軽減税率の適用期間は令和6年3月31日までであるため注意しましょう。
不動産取得税
不動産取得税は不動産を取得した方が納めなければならない税金であり、計算式は以下の通りです。
不動産取得税 = 課税標準額(固定資産税評価額) × 税率
税率は不動産の種類によって異なり、以下の表の通りです。
取得日 | 土地家屋(住宅) | 家屋(非住宅) |
令和6年3月31日まで | 3% | 4% |
令和6年3月31日までに宅地等(宅地および宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は価格の1/2となります。
たとえば土地評価額1,000万円、建物評価額2,000万円の物件を購入した場合の不動産取得税は以下の通りです。
≪土地≫
土地評価額1,000万円 × 1/2 × 税率3% = ①土地の不動産取得税15万円
≪建物≫
建物評価額2,000万円 × 3% = ②建物の不動産取得税60万円
≪土地・建物≫ ① + ② = 不動産取得税75万円
合計で75万円の不動産取得税を納める計算となります。
不動産取得税は初期費用として算入されるケースが多いですが、納税するタイミングは不動産の売買契約時や引き渡し時ではありません。自治体によっても異なりますが、不動産を取得(所有権移転)してから3ヶ月〜半年後に納税通知書が送られてくるため、記載されている期限までに納税しましょう。
火災保険料・地震保険料
不動産を購入する際に火災保険や地震保険に加入する場合はそれぞれの保険料も初期費用として考える必要があります。
火災保険への加入は義務ではありませんが、不動産を運用していくなかで火災や自然災害への備えは非常に重要です。なお、ローンを組んで不動産を購入する場合は、融資条件として火災保険への加入が義務付けられているケースが一般的です。
火災保険は火災という名前がついていますが、火災以外の損害でも補償を受けられます。具体的には以下のケースで保証を受けられます。
- 火災
- 破裂、爆発
- 落雷
- 風災、雹災(ひょうさい:大粒の雹(ひょう)による損害)、雪災
- 水災
- 水濡れ
- 外部からの飛来、落下、衝突
- 騒擾(そうじょう:騒いで秩序を乱すこと)・集団行為等にともなう暴力行為
- 盗難
加入する保険によって補償内容は異なるため、各社の火災保険を比較検討しましょう。
幅広い損害を補償する火災保険ですが、地震や津波は対象外です。また、地震を原因とする火災も対象外です。
地震や津波へのリスクを軽減したい方は別途、地震保険に加入する必要があります。地震保険は単体では加入できず、火災保険の特約として加入する必要があります。地震保険の保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内で設定でき、建物は5,000万円、家財は1,000万円が補償の限度額です。
固定資産税・都市計画税の精算
不動産を購入する際に取引の公平性を保つために買主と売主の間で固定資産税・都市計画税の精算を行います。
固定資産税・都市計画税は1月1日時点での不動産所有者が納税義務者であるため、年の途中で売却したとしても、売主が全額納税しなければなりません。しかし年の途中で所有者が変更となった場合に売主が全額負担するのは取引の公平性に欠けるため、引き渡し時に日割り精算するのが不動産取引の慣行となっています。
固定資産税・都市計画税の対象となる資産は以下の通りです。
- 固定資産税:土地や家屋、償却資産に課される税金
- 都市計画税:原則として市街化区域内に所在する土地および家屋に課される税金
不動産のエリアによっては都市計画税がかからない場合もあるため、発生するか必ず確認しておきましょう。なお、マンションを購入する場合は固定資産税・都市計画税に加え、管理費や修繕積立金も日割りで精算するのが一般的です。
初期費用をおさえるポイント
不動産投資の初期費用をおさえると黒字化までの期間の短縮や収益性アップにつながります。初期費用をおさえるためのポイントは以下の通りです。
- 不動産会社が売主の物件を購入する
- 金融機関とのコネクションが強い不動産会社を探す
- 銀行からの評価が高い物件を購入する
初期費用をおさえるポイントについて詳しく解説します。
不動産会社が売主の物件を購入する
不動産会社やハウスメーカーが売主の物件を購入すると買主と売主の直接契約になるため仲介手数料を支払う必要がなく、初期費用をおさえられます。
仲介手数料は初期費用の多くの割合を占める部分であるため、おさえられれば数十万円〜数百万円もの費用の節約につながります。
不動産会社やハウスメーカーが売主となっている物件は不動産ポータルサイトでは「売主」や「代理」という文言が記載されているため、購入する際の参考にしてみてください。
金融機関とのコネクションが強い不動産会社を探す
付き合いのある金融機関や検討中の金融機関がない場合は、取引金融機関が多い不動産会社を探してみましょう。
金融機関とのコネクションが強い不動産会社を通して購入すると、通常よりも金利が低い独自のローンを利用できるケースがあります。不動産投資は融資の条件や金額によって収益性が異なるため、物件だけでなく融資についても情報を集めましょう。
たとえば、返済期間30年で2,000万円のローンを組んだとしましょう。金利1.5%の場合は総返済額が2,485万円ですが、金利2%になると2,661万円となり、200万円近い差が出ます。
不動産の規模にもよりますが、賃料収入で200万円もの金額を回収するには多くの時間がかかるため、効率良く投資するためにも融資を上手に活用しましょう。
ファミリーコーポレーションは、40行以上の金融機関との取引実績がございます。不動産投資をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
銀行からの評価が高い物件を購入する
不動産投資を行う際に金融機関からの評価が高い物件を選べば融資金額が伸びる可能性があるため、頭金をおさえての購入が可能です。
不動産の評価は積算価格や収益価格によって求められます。
- 積算価格:今現在同じ土地、同じ建物(経年劣化を含む)を建てた場合にかかる価格
積算価格 = 土地の価格 + 建物の価格
土地の価格 = 路線価 × 土地面積
建物の価格 = 再調達価格 × 延床面積 × (法定耐用年数 - 築年数)÷ 法定耐用年数
- 収益価格:不動産から得られる収益やかかる費用、適正利回りをもとに算出する価格
収益価格 = 年間運用純利益 ÷ 実質利回り
※年間運用純利益は家賃収入から年間経費を差し引いた金額
なお、評価基準は金融機関によって異なるため、融資状況に詳しい不動産会社に相談するのがおすすめです。
金融機関からの評価が高い物件は資産価値が高い証でもあるため、投資の際の安心材料にもなります。たとえば、大通りに面している土地や築年数の浅い物件、法定耐用年数の長い鉄筋コンクリートなどで作られている物件は資産価値が高い傾向があります。
運用時にかかる費用にはどんなものがあるの
不動産投資ではキャッシュフローを常に意識しなければならないため、運用時にかかる以下の費用も含めて資金計画を立てる必要があります。
- 税金
- 管理委託手数料
- 修繕費
- 原状回復費
- 広告費
- 共用部分の清掃費
- 月々のローン返済
不動産投資で発生する費用について、次の項目から紹介していきます。
税金
不動産を運用する際にかかる税金は以下の4つです。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 都市計画税
4つの税金の特徴や計算方法は、以下の表を参考にしてください。
税金の種類 | 特徴・計算式 |
所得税 | ・不動産で得た収入(不動産所得)は給与所得と合算される ・合算した金額から必要経費や控除を差し引いた「課税所得」をもとに税金が計算される ・帳簿上での不動産投資赤字と、給与所得との合算(損益通算)で所得税の節税効果がある ・計算式:所得税 = 課税所得額 × 税率 - 税額控除 |
住民税 | ・都道府県民税と市区町村税が合わさったもの ・所得税と同様に所得に対して課されるため、所得税が下がると住民税も下がる ・前年の所得をもとに計算するため、不動産投資の節税効果が出るのは翌年から ・計算式:住民税 = 課税所得額 × 税率 - 税額控除 + 均等割 |
固定資産税 | ・1月1日時点の所有者が納税義務者 ・計算式:固定資産税評価額 × 税率(1.4%) ※住宅用地や新築住宅は軽減措置あり |
都市計画税 | ・1月1日時点の所有者が納税義務者 ・対象は「市街化区域内」に所在する土地・家屋 ・計算式:固定資産税評価額×税率(最大0.3%) ※住宅用地は軽減措置あり |
不動産投資は税金が大きなランニングコストとなります。想定される収益や固定資産税評価額をもとにシミュレーションを行いましょう。
管理委託手数料
管理委託手数料は不動産の管理を管理会社に委託する際にかかる費用です。管理委託手数料はオーナー自身が管理業務を行えば発生しませんが、非常に煩雑かつ手間であるため管理会社に委託するのが一般的です。
管理会社が行う管理業務は以下の通りです。
- 入居者募集
- 賃貸借契約締結・更新
- 家賃回収・家賃滞納者への督促
- 解約手続き・退去時の立会い
- クレーム処理
- 清掃
- 法定点検
- 室内クリーニング
- リフォーム
賃料の集金・督促やクレーム対応はトラブルに発展するケースも考えられるため、プロに任せたほうが安心といえます。
管理委託手数料は「家賃収入 × 5%」が相場で、自主管理と比べて費用がかかるものの、オーナーの負担を大幅に軽減できると考えれば費用対効果は高いです。
共用部分の清掃費
1棟アパートや1棟マンションの場合、定期的に共用部分の清掃が必要であり、委託する場合は清掃費が発生します。管理会社に管理を委託する場合は、管理委託手数料のなかに清掃費用が含まれていることもあれば、別途支払うこともあるため、事前に確認しておきましょう。
清掃費は建物の規模にもよりますが、月2回の清掃であればアパートの場合は6,000〜10,000円程度、マンションの場合は10,000〜50,000円程度が相場です。
修繕費
修繕費は建物や設備の不具合が発生した際にかかる費用です。一戸建てや1棟アパート・マンションなどの場合は建物の内部だけでなく、外壁塗装の費用も必要になります。
外壁塗装などは修繕が必要な時期をある程度見積もりやすいですが、建物内部の設備や給排水管などはいつ故障するかわかりません。所有している戸数が多ければ多いほど突発的な不具合が生じるケースが多くなるため、日頃から修繕費は積み立てておきましょう。
国土交通省のデータによると、必要な修繕費の目安は以下の通りです。
鉄筋コンクリート造10戸(1K) | 木造10戸(1K) | |
5〜10年目 | 約7万円/戸 | 約7万円/戸 |
11〜15年目 | 約46万円/戸 | 約52万円/戸 |
16〜20年目 | 約18万円/戸 | 約18万円/戸 |
21〜25年目 | 約90万円/戸 | 約80万円/戸 |
26〜30年目 | 約18万円/戸 | 約18万円/戸 |
合計 | 約177万円/戸 | 約174万円 |
築年数が経過した物件であるほど修繕費がかさみやすいため、中古物件を購入する際は注意しましょう。
原状回復費
原状回復費は入居者が退去する際に室内を借りたときの状態に戻すための費用です。
通常、原状回復費は入居者が支払う部分とオーナーが支払う部分に分かれています。たとえば、室内に故意で傷つけられた箇所があったり、タバコのヤニで部屋全体が黄ばんでしまっていたりする場合は入居者の費用負担で原状回復をします。一方で、壁紙や床の日焼けなど経年劣化によるものはオーナーが負担しなければなりません。入居者が負担する場合は、入居時に預かった敷金から修繕し、余った金額は退去時に返還します。
原状回復費は室内の広さや状況などによって費用が大きく異なるため、一概に目安は提示できません。
広告費
入居者募集の際に不動産会社に広告運用を依頼した場合は広告費が発生します。広告費は入居者募集をするためにオーナーが不動産会社に支払う費用であり、特別な広告を依頼した場合は別途費用がかかる場合があります。
物件の家賃が周辺の相場より高すぎたり、初期費用が多すぎたりする場合は広告費をかけても、入居者が見つかるまでに時間がかかるケースもあるため、家賃設定が適正かを考え判断しましょう。
月々のローン返済
ローンを組んで不動産を購入する場合、月々の家賃収入をローンの返済に充てることになります。不動産投資をする際に組む不動産投資ローンは住宅ローンと比べて金利が高い傾向にあるため、返済金額も多くなりがちです。返済方法や金利をしっかりと考えたうえでローンを組みましょう。
ローンの返済方法は2種類あり、それぞれのメリット・デメリットは以下の表の通りです。なお、金融機関の多くは元利均等返済方式を採用しています。
≪ローンの返済方法≫
メリット | デメリット | |
元利均等返済 | ・返済額(元金 + 利息)が一定のため返済計画が立てやすい | ・元金均等返済よりも総返済額が多くなる |
元金均等返済 | ・返済額が徐々に少なくなる ・元金の減少率が大きいため、元利均等返済よりも総返済額をおさえられる | ・返済当初の返済額が大きくなる ・返済当初の返済額が大きくなるため、ローン審査の際に希望金額を借りられない可能性がある |
ローンを組む際の金利の種類は以下の通りです。
≪金利の種類≫
金利の種類 | 特徴 |
固定金利 (全期間固定型) | ・ローン契約〜完済まで金利が固定 ・返済計画が立てやすい ・借入時は変動金利より金利が高い |
固定金利選択型 (固定期間選択型) | ・借入から一定期間の金利が固定される ・借入時は全期間固定金利よりも低金利 ・ローンによっては固定期間終了後は変動金利か固定金利選択型かを選べる ・2年、3年、5年、10年、15年などから期間を選べる |
変動金利 | ・経済情勢によって金利が変動する ・借入時は固定金利よりも低金利 ・将来金利の変動によって返済額が減る場合もあれば、増える場合もある |
返済方法や金利は経済情勢や物件の収益性を踏まえて判断する必要があります。現在は超低金利時代であるため変動金利のほうが安い傾向がありますが、将来的には金利上昇のリスクがある点をおさえておきましょう。
まとめ
不動産投資では物件価格に加えてさまざまな初期費用がかかるため、発生する費用の種類や自己資金を踏まえて資金計画を立てる必要があります。
本記事では初期費用の内訳や運用時にかかる費用について解説しましたが、種類が多いうえ、物件の個別要因で異なるため、自分一人で正確な資金計画を立てるのは難しいかと思います。
初期費用をおさえながらもリスクの低い不動産投資を行うためには、不動産投資のプロの意見を参考にするのが大切です。
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