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アパート売却

不動産売却の税金は控除・特例制度あり!確定申告の流れも解説!


目次

    不動産売却時に忘れてはならない税金が譲渡所得税です。譲渡所得税は他の税金の中でも高額になりやすいですが、特例を適用できれば納税額を大幅に軽減できます。とはいえ、「どのような特例があるのか」「何を適用できるのか分からない」という方は多いのではないでしょうか。

    そこで本記事では、不動産売却にかかる税金や適用できる控除・特例を紹介します。適した売却タイミングを知りたい方や納税額をおさえたい方は、ぜひ参考にしてください。

    不動産売却でかかる税金!譲渡所得税とは?

    紙に記載された譲渡の文字とペン

    ここでは、不動産を売却した際にかかる譲渡所得税について以下の3つを解説します。

    • 譲渡所得税とは何か
    • 譲渡所得税の計算方法
    • 短期譲渡所得と長期譲渡所得とは?

    順番に見ていきましょう。

    譲渡所得税とは何か

    譲渡所得税とは、不動産の売却で生じた利益に対して課される所得税や住民税、復興特別所得税の総称です。復興特別所得税は東日本大震災からの復興に用いるために創設された税金で、実施期間は2037年までになっています。この期間中は所得税に上乗せして2.1%が徴収されます。

    なお、不動産売却の譲渡所得税は分離課税方式で計算するため、給与所得や事業所得などの他の所得とは切り離して計算します。

    譲渡所得税の計算方法

    譲渡所得税は単純に「売れた価格」ではなく、売却によって発生した利益に対してかかる税金です。計算方法は以下のとおりです。

    譲渡所得=売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

    取得費とは、「不動産を取得したときにかかった費用」で、譲渡費用は「不動産を売却するためにかかった費用」を指します。例えば、売却価格が2,000万円のときの取得費が1,000万円、譲渡費用が300万円だった場合、課税譲渡所得は700万円です。

    短期譲渡所得と長期譲渡所得とは?

    不動産売却の譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間によって異なります。不動産売却をした年の1月1日時点で所有期間5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年超であれば「長期譲渡所得」です。それぞれの税率を以下の表にまとめました。

    所得税復興特別所得税
    (所得税額の2.1%相当)
    住民税合計
    短期譲渡所得
    (所有期間5年以下)
    30%0.63%9%39.63%
    長期譲渡所得
    (所有期間5年超え)
    15%0.315%5%20.315%

    (参考: 『国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)』)

    事業用不動産の売却時に適用できる控除や特例

    机の上に並べられた不動産の模型と電卓

    事業用不動産の売却で譲渡所得税を納めることになっても、一定の条件を満たせば控除や特例を適用できます。居住用不動産のように多くはありませんが、売却前によく理解しておくことが大切です。

    特定事業用不動産の買換え特例

    事業用資産の買換えの特例とは、一定期間内に事業用不動産を買い換えした場合、課税の支払いを次の買い換えまで繰り延べられる制度です。税額控除や免除ではなく、あくまで課税の繰り延べであることを留意しましょう。

    この特例は、売却予定の事業用不動産の収益性が低い場合、より高い収益を見込める事業用不動産に買い換える際にメリットが得られます。本来であれば発生するはずの譲渡益の最大80%を繰り延べできるため、当面の譲渡所得税の納税額をおさえることが可能です。

    ただし、以下のような項目に該当する場合にのみ適用できます。

    • 譲渡した事業用アパートの所有期間が10年を超えること
    • 譲渡資産と買換資産は共に事業用であること
    • 買い替えた事業用不動産が特定の地域内にあること
    • 新しく取得する土地面積がもとの土地の5倍以内であること
    • 買換不動産は譲渡不動産を売却した年の前年か翌年に購入すること
    • 取得から1年以内に事業使用する予定であること

    (参考: 『国税庁 No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例』)

    平成21年および平成22年に取得した土地の特別控除

    平成21年および平成22年に取得した土地の特別控除とは、一定の要件を満たした場合に譲渡所得から最大1,000万円控除できる制度です。1,000万円を満たさない場合でも譲渡所得の金額が控除額となります。

    以下のような項目に該当する場合は適用できます。

    • 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地を取得している
    • 平成21年に取得した土地は平成27年以降に譲渡、平成22年に取得した土地は平成28年以降に譲渡している
    • 親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得していないこと
    • 相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済、所有権移転外リース取引により取得した土地ではないこと
    • 他の譲渡所得の特例を受けていないこと

    (参考: 『国税庁 No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除』)

    居住用不動産の売却時に適用できる控除や特例

    机の上に並べられた家の模型や電卓、お金、ペン、通帳

    事業用不動産の売却に比べると、居住用不動産の売却時に適用できる譲渡所得税の控除や特例は豊富です。特例を利用することで税額を大幅におさえられるため、事前に把握しておきましょう。

    居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

    居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、マイホームを売却した場合に譲渡所得から3,000万円まで控除できる制度です。

    売却で得た利益が3,000万円以下であれば譲渡所得はかからないため、納税する必要はありません。3,000万円を超えている場合でも、控除を利用することで譲渡所得税を大幅に節税でき、経済的負担を軽減できます。

    要件を満たすための条件には、以下のようなものがあります。

    • 売却した不動産が居住用であること
    • 居住しなくなってから3年後の12月31日までに売却していること
    • 売却した年から前々年までの間に、特定の特例を適用されていないこと
    • 買主が親族や夫婦、同族会社など、特殊な関係でないこと

    (参考: 『国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例』)

    10年超所有軽減税率の特例

    10年超所有軽減税率の特例とは、売却した時点で不動産(マイホーム)の所有期間が10年を超えていた場合に、譲渡所得に軽減税率が適用される特例です。課税譲渡所得が6,000万円超の場合は20.315%、6,000万円以下の場合は14.21%の税率が設定されます。

    先述した「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とも併用できるため、さらに納税額をおさえることが可能です。

    要件を満たすための条件には、以下のようなものがあります。

    • 売却した不動産がマイホーム(居住用)であること
    • 売却した不動産の所有期間が売却した年の1月1日現在において10年を超えていること
    • 買主が親族や夫婦、同族会社など、特殊な関係でないこと
    • 売却した年から前々年までの間に、特定の特例を適用されていないこと

    (参考: 『国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例』)

    マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

    マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、マイホームを買い換えて譲渡損失がある場合に、その年の給与所得や事業所得などプラスの所得と相殺(損益通算)できる制度です。相殺しきれなかった損失は、翌年以後3年以内に損失を繰り越せます。

    要件を満たすための条件には、以下のようなものがあります。

    • 売却した不動産が居住用であること
    • 売却した不動産の所有期間が売却した年の1月1日現在において5年を超えていること
    • 売却した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に床面積50平方メートル以上の居住用不動産を取得すること
    • 買換資産を取得した年の翌年12月31日までの間に住むこと
    • 買換資産を取得した年の12月31日において10年以上の住宅ローンがあること

    (参考: 『国税庁 No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)』)

    不動産売却で特別控除を受けるための確定申告の流れは?

    机の上に並べられた電卓とペンと必要書類

    不動産の売却で特別控除を受けるためには、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をしなければなりません。ここでは、必要書類の準備と作成、税務署に書類を提出するまでの流れを解説します。

    1.必要書類の準備と作成をする

    確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。

    • 確定申告書(分離課税用)
    • 譲渡所得の内訳書
    • 不動産購入時と売却時の売買契約書の写し
    • 戸籍の附票の写し
    • 仲介手数料、印紙税、登録免許税などが分かる領収書の写し
    • 購入不動産と売却不動産の全部事項証明書
    • 売買代金受領書の写し
    • 固定資産税精算書の写し

    どの特例を適用するかによって必要書類は異なるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

    2.税務署に書類を提出する

    確定申告に必要な書類を税務署に提出する方法は、以下のとおりです。

    • 税務署や確定申告会場で直接提出する
    • 郵送で提出する
    • e-Taxを利用してインターネット上で提出する

    税務署や確定申告会場で直接提出する場合は、窓口の担当者に書類の不備をチェックしてもらえるため、初めて確定申告する方におすすめです。ただし、税務署は確定申告の時期になると混雑します。早めに動くか、郵送で提出するのもよいでしょう。

    その点、国税庁のオンラインサービスであるe-Tax(国税電子申告・納税システム)であれば、場所を問わず24時間いつでも提出できます。マイナンバーカードとスマートフォンを用意し、国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」の案内に従って進めてください。

    まとめ

    机の上に並べられた電卓と不動産の模型

    不動産売却時にかかる税金のひとつに譲渡所得税があります。譲渡所得税は売却で利益が発生したときにかかるものですが、高額になりやすいため、事前に大まかな金額を把握しておくことが重要です。また、一定要件を満たして特例を適用することで、譲渡所得税を大幅に軽減できます。

    収益物件の売却に利用できる控除や特例は少なく、居住用物件に比べると見落としがちですが、要件を満たしているのに利用しないのは惜しいため、本記事を参考にチェックしてみてください。

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